指の感覚で良い巻き
具合を読み取る。
空手も糸も感覚って大切
親戚が播州織をやっていて、私自身、学校卒業後にまだ夢というものがなくって、「まずは働こう、お金を稼ごう!」って思ったんです。事務仕事よりも現場がいいなあ、自分で仕事を進めていけるのがいいなと思っていた時に、東播に出会い、現場に入りました。
現場で
働きたかった
企画や事務よりは動いている方が性に合っているので現場が楽しいです。部活もずっと運動部ですからじっとしていられないかも(笑)。染色さんもお隣ですが、「暑い〜!」ってよく聞きます。加工のお仕事も見てみたいですけど、どこがいいって正直まだわからないです。どうしても他の部署で何やってるかって知る機会が少なくって。なので、とりあえずいろんな部署を1〜2周してみたいです。と言いながらも、人と目線合わせて話すこと、苦手なんですけど。竹内専務は入社面接の時からいらっしゃって、たまに部署にも来てくださるんで話しやすいです。東播の方々はそうですねえ、仕事柄でしょうか、みなさん全体的にわーって騒ぐタイプというよりも自分の技術を突き詰めていく人が多い気がします。
腹を括って
覚える
この仕事を始めた時に色々教えてくださった師匠がいろんな意味で厳しい人でした。師匠に言われてなるほどと思ったこと、それは“なんでもかんでも聞かないこと、自分でも考えること”です。「急に私がいなくなったら聞けないから仕事できないってなるでしょう。どうするの?」って言われてハッとしたんですよね。だからメモとって自分で覚えてやっていかないとっていう心構えができました。わからなければまた聞けばいいではなくって覚えること、そしてまずは自分でも考えることを心がけています。でも周りとも共有することも大切だと思っていて、わからないことを聞くんじゃなくって、「この(巻きの)硬さ、どう思う?」って聞けるようにしたいと思ってやっています。
ちょうどいい巻きを
親指の腹で覚える
5mm〜10mm巻いたら、親指の腹で触ってみて、錘の調整するんですが必要なのは感覚です。「やわらかいぐらいがちょうどいいよ。」って言われるのでそんな感じに巻けるようにしていますが、指の腹でちょうど良さがわかるようになるにも時間がかかりました。2年目で師匠が退職されたのでやらざるを得なかったというのが本音です。機械で巻くので一覧表(指針)はもちろんありますが、自分の感覚に頼る部分もあります。失敗したら3時間かかって巻いたものを3時間かけて戻さなきゃいけないので大変です。糸が途中で切れることもありますし。やわらかい、硬いって人それぞれの感覚だし、気温や湿度でも変わるんですよ。晴れの時は巻きが大きくなりがちだし雨の時は重たくなる。湿度でしょうか。この感覚を覚えるのは大変でしたし、まだまだこれから勉強していかなければと思っています。
次の工程の品質に
責任を持って取り組む
何気に細かな作業です。錘を図って、半割するんですが、きちんとgで切ってやる。これって染色が待っている前の大切な工程で、巻きの良し悪しで色むらができてしまうんです。そうなってしまうと巻き直しが大変。すみません、トラブルの話ばかりみたいですね(苦笑)。責任重大だなあといつも仕事をしながら気持ちを引き締めて向き合っています。「染めやすかったよ。」なんて褒められることはない。それがあたりまえじゃないですか。でも時々営業の人が「ごめん、これを急いで今すぐ巻いてくれる?」って駆け込んでこられ、後で「助かったよ、ありがとう!」って言ってくださることがあって、そういう時に、「ああ、役に立てているんだあ。」と嬉しくなります。
褒める仕組み欲しいかって?そうですねーあると嬉しいですね。モチベーションが上がりそうです(笑)。
褒める仕組み欲しいかって?そうですねーあると嬉しいですね。モチベーションが上がりそうです(笑)。
手で触ってわかる
知識を増やしたい
先ほど、長い間空手をやってきたとお伝えしたのですが、空手っていろいろな流派があって、型のあり方、足の使い方、母指球とか本当に型に関係しますが、たとえば寸止めなどは当てにいってはいけないので、今まで伸ばせていた手を手前で止めなければいけないなど感覚を鍛えることも大切だったんですね。巻きの加減を親指でわかるようになるのってそれに近いなあって。皮膚感覚とか身体感覚を育てる感じでしょうか。だから今年の目標はそれをさらに発展させて、利き酒ならぬ利き布?ができるようになりたいなって。
播州織産地博覧会「播博(ばんぱく)」という、織物のまちと播州織を紹介する生地マルシェのお手伝いをさせていただく時ぐらいしかたくさん布を触る機会ってなかなかないのですが、「これって綿100ですか?」とか「これは何の生地ですか?」なんて聞かれた時にさらっと番手や素材を答えられるとかっこいいなと思ったからです。せっかくこういうお仕事をしているので、手で触って素材わかるようになりたいなって。がんばります!
播州織産地博覧会「播博(ばんぱく)」という、織物のまちと播州織を紹介する生地マルシェのお手伝いをさせていただく時ぐらいしかたくさん布を触る機会ってなかなかないのですが、「これって綿100ですか?」とか「これは何の生地ですか?」なんて聞かれた時にさらっと番手や素材を答えられるとかっこいいなと思ったからです。せっかくこういうお仕事をしているので、手で触って素材わかるようになりたいなって。がんばります!