インタビュー
interview
加工:技術次長

野村 創

NOMURA HAJIME
勤続21年目
加工
野村さんの趣味

長年ゴルフ。同僚の勧めと義父が道具をくれたことがきっかけ。ゴルフのhow to動画 YouTubeで見たりします。

野村さんの仕事

加工は織り上がった生地に薬品などを使って機能を加えたり、風合いを変えたりする最終工程。具体的には副工場長として加工上がりの生地の物性や風合い、品質の管理に加え、何か問題があったときの対処を担当しています。薬剤メーカーさんとの取り組みも行っており、紹介してもらった薬剤をラボしてよかったら取り入れることも。営業や企画から風合いの作り方や薬剤についての相談を受けることもあります。

問題対応から
名品が生まれる。
それが加工の面白さ

東播染工との出会いは大学で見た募集がきっかけです。工学部理系だったのですが、繊維は服のためのもので、服はみんなが着ているわけだからこれからもなくなることはない、それなら安定している業界なんじゃないかなって思い入社して21年、加工一筋です。

加工という仕事がどんな内容なのか、入社当時はわからず始めましたが、やってきてわかった楽しさ、それは加工から新しいものが生まれ、人気商品になっていくことです。難しい加工であっても、たくさん受注をもらうことで私たちの精度も上がり、安定して世の中に生地を出していけるようになりますからね。

もちろん東播の中にもいろんな仕事があると思うんですが、どっちかというと営業は向いてないと思います。むしろ新しいものを創ることが好きですね。

この生地は加工という仕事の面白さがわかるかなと思って持ってきました。

起毛でありながらちょっとしっかりしてるでしょう?これ、作ろうと思ってできた生地じゃないんです。起毛素材で懸念される表面フラッシュ(生地表面の毛羽に火がつき、短時間に燃え広がる現象)対策として薬品で起毛を抑える加工をやったのですが、いい風合いが残りつつ、きちんとした感じの生地が生まれたんです。こういったものはイメージから色柄、風合いを考える通常の企画プロセスからは思いつきにくい、むしろ現場だからこそ作れる新素材かもですね。

普通にできる
その先にあるもの

加工にはトラブルはつきもので、どう対処するかは経験がものをいいます。普通のことは1年もあればなんとかできるようになりますが、その先は経験を積まなければできません。なぜなら一見同じように見えてもさまざまな特徴がある生地たちを今までどれだけ触ってきたか、素材の知識を蓄え続けてきたかによるからです。でもそんなことを言える私でも途中で辞めたくなったこと、若い頃はありましたよ。初めはとにかく人間関係も仕事も覚えてこなすことに精一杯でも、慣れてきたら日々の仕事に追われ、マンネリ化する瞬間ってありますよね。だから自分と同じように悩んでいる若い人たちを今は副工場長としても経験者としても、助けたいなと。
どうしても日々目の前のことに追われがちな現場だからこそ、自分たちにしかできないような新しいものづくりができるように、その先にあるものを一緒に作れるようになっていきたいなと。

化学の知識より
翻訳力

加工に失敗はあるかって?むしろ成功率が10%ぐらいじゃないでしょうか(笑)。生地としていいものになっても品質や耐久性はもちろんですが、営業視点でこれいける!となるにはなかなか。だからこそ、生地良かったよ、って気に入ってもらえてリピートがくること本当に嬉しいです。趣味はゴルフって言いましたけど、加工もゴルフも共通して、上手くなる方法とかを考えるのも好きかもしれませんね。それも全て自分からというよりも何か企画さんがいってくれることに応えたり、トラブル対策の過程だったり、人との関わり合いの中から生まれるものづくりが楽しいのかもしれません。
加工の現場で求められる能力って化学などの知識よりも、翻訳力が必要だと思います。生地をどうしたいかを数値で言ったりとかじゃなく、ちょっと硬くしたいとか“オーガンジー風”がいいな、とか割とふんわりした無茶振りも多くて。でもそれってどんなものを望んでいるんだろうって想像して翻訳して加工を想像し、考え、試してみる。そしてそれが上手くいくと、嬉しいです。
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