生地の個性を見極めて
機械を操作する。
最後はやっぱり人
半導体の会社にいたのですが、その時の同僚が先に東播で働いていたこともあって、口利きしてくれたことをきっかけに、東播で働き始めました。半導体の工場とは全然雰囲気違いますよ。あっちはクリーンルーム、常に23度、埃NGな世界ですから、今は真逆。埃まみれで暑くて寒い(笑)!
でもね、今の方がいいです。だって半導体は“人”っていうよりも“エンジニアリング”の世界。でも東播は機械を使ってやっても、やっぱり人。人が大切だからです。
サンフォライズってイメージとしては大きなアイロンみたいなものに通して、生地の伸び縮みを固定する感じなのですが、作業としては、送り具合を試験室でデータ化してくださるので、それをみて機械の送りを調整していきます。加工自体は機械がやることであっても、人がやる調整、これが大切。現場では生地が厚いものだともう少し送ってあげた方がいいかななんて、生地の厚みによって調整を細やかにみていたり、チェックとか柄物は歪みもでやすいのでその辺りは気を配ります。入社後、樹脂加工に5年いたのち、サンフォライズ担当になりました。樹脂加工は液を使って形状記憶させたり、幅整えたり、熱かけてシワ防止をおこなったりしました。こうしてみると加工一筋ですよね。樹脂加工では指示を受けて自分で調液もやってました。5年やって樹脂加工のコツが見えてきた時に、突然サンフォに移動って言われ、正直「なんで?」ってなりましたよ。また移動するならどこがいいかって?そうですね、樹脂かなあ。いろいろできて面白いですからね。でもやっぱり、今はサンフォがいいです。面白いです。
機械にも人と同じ
個性があるんですよ。
でもね、みなさん昔の職人さんですから、ガッと上からいうタイプの人たちで。今の時代はそういう教え方難しいと思うんですが、まあ、当時、その人に怒られるのが嫌だったから、早く覚えようと頑張りましたよ。だからって今の若い子たちには同じことはできません。学校からして違うでしょ?今は今のやり方があるって思います。
加工の現場では、若手もベテランも含めてなんですが、もっとみんながいろんな機械を使えるようになったら人手を回せるのにって思うんです。受注によって忙しい機械と暇な機械があったりするわけで、暇な機械を担当している人が柔軟に忙しいところを手伝えたらできることが増えるんです。でも実際難しいんですよ。パッと思いつくだけでもパーブル、シルケット、樹脂、サンフォ、サーキュラー、タンブラーなどいろんな種類があって、さらにどれも機械ごとに癖がありますし、慣れるまでに時間がかかるんです。不思議ですよね、機械なんて誰がやっても同じようなものだと思われがちですが、布にまつわる機械だからなんですかね、人みたいなんですよね。
応用が効くこと
そして楽しめること
手強い生地、たとえば分厚い生地は送りが難しいし、一回でうまくいかず2〜3回繰り返したりすることもありますし、打ち込みがきつい布はシワになりやすいから要注意。カットドビーとかもやったことありますが、これまた手強い。でもね、ちゃんと生地を見て学びながらやったらできるものです。その過程も楽しめた方がいい。それにね、東播って地元の子どもたちが工場見学とかで来てくれるんですよ。うちの子も来ました。加工の機械とかみて「わーすごい!」なんて言ってくれたりね。嬉しい仕事だと思いますよ。