問題対応から
名品が生まれる。
それが加工の面白さ
東播染工との出会いは大学で見た募集がきっかけです。工学部理系だったのですが、繊維は服のためのもので、服はみんなが着ているわけだからこれからもなくなることはない、それなら安定している業界なんじゃないかなって思い入社して21年、加工一筋です。
加工という仕事がどんな内容なのか、入社当時はわからず始めましたが、やってきてわかった楽しさ、それは加工から新しいものが生まれ、人気商品になっていくことです。難しい加工であっても、たくさん受注をもらうことで私たちの精度も上がり、安定して世の中に生地を出していけるようになりますからね。
もちろん東播の中にもいろんな仕事があると思うんですが、どっちかというと営業は向いてないと思います。むしろ新しいものを創ることが好きですね。
この生地は加工という仕事の面白さがわかるかなと思って持ってきました。
起毛でありながらちょっとしっかりしてるでしょう?これ、作ろうと思ってできた生地じゃないんです。起毛素材で懸念される表面フラッシュ(生地表面の毛羽に火がつき、短時間に燃え広がる現象)対策として薬品で起毛を抑える加工をやったのですが、いい風合いが残りつつ、きちんとした感じの生地が生まれたんです。こういったものはイメージから色柄、風合いを考える通常の企画プロセスからは思いつきにくい、むしろ現場だからこそ作れる新素材かもですね。
普通にできる
その先にあるもの
どうしても日々目の前のことに追われがちな現場だからこそ、自分たちにしかできないような新しいものづくりができるように、その先にあるものを一緒に作れるようになっていきたいなと。
化学の知識より
翻訳力
加工の現場で求められる能力って化学などの知識よりも、翻訳力が必要だと思います。生地をどうしたいかを数値で言ったりとかじゃなく、ちょっと硬くしたいとか“オーガンジー風”がいいな、とか割とふんわりした無茶振りも多くて。でもそれってどんなものを望んでいるんだろうって想像して翻訳して加工を想像し、考え、試してみる。そしてそれが上手くいくと、嬉しいです。